日本の風土と発酵文化の関係

今回は「日本の風土と発酵文化の関係」について深掘りしようと思う。日本の風土の特徴と、そこから生まれた発酵文化の関係……気になるでしょ?

実はその鍵を握っているのは、私たちがよく知っている「塩」なんです。詳しく探っていこう!

日本の土壌、風土の特徴

日本の土には、他国の土と比較すると珍しい個性がありました。それは、地中に「岩塩(塩の層)」がほとんど存在しないということでした!

なぜ、日本の地中にはほとんど塩が含まれていないのか?そこには、「島国という地形と、日本ならではの「雨」と「火山」の歴史があるからなんです!

島国:豊かな「雨が土を洗う」島国の仕組み

日本は四方を海に囲まれた島国であり、中央には高い山脈が連なっています。海から吹く湿った風が山にぶつかり、たっぷりの雨を降らせます。

急峻な地形が多い島国だからこそ、降った雨は勢いよく山から川、そして海へと流れていきます。この激しい水の循環が、土の中にあった塩分を溜め込むことなく、常に洗い流しているのです。いわば、島国全体が、雨の恵みによって一掃され続けているような状態。

雨と火山:火山が運ぶ「まっさらな土」

さらに、日本は火山の多い国でもあります。噴火によって降り積もった火山灰は、塩分を含まない土台になります。

大陸のように広大な大地に塩分が蓄積するのとは対照的に、雨と火山、そして島国特有の水の流れによって、日本には世界でも稀な「岩塩のない、まっさらな土壌」が形作られました。

この「まっさらであること」こそが、その後に続く、多様な微生物たちの営みや、食文化の出発点となっているのです〜(まって!!日本と似た個性の島国ってあるのでは?)

日本と似た個性の島国ってあるの?

世界を見渡すと、いくつか候補が上がりましたが、日本とは少しずつ個性が違いました。

  • ニュージーランド
    島国で火山もあり、雨も多いので、日本に最も近い存在です。実際に土壌の性質も似ていますが、あちらは「放牧(牛や羊)」に適した草原文化が発展しました。
  • インドネシア・フィリピン
    火山も雨も多い島国ですが、年間を通して高温多湿な熱帯気候です。菌の分解スピードが日本よりも速すぎたり、激しい雨で土の養分が流されやすいという違いがあります。
    そのため、この地域では「テンペ(大豆の発酵食品)」のように、短期間でパワフルに発酵させる知恵や、スパイスを多用して食材を上手に保存する豊かな食文化が発展しました。
  • イギリス・アイスランド
    イギリスは島国で雨も多いですが、火山がほとんどありません。そのため、古くから「石灰質」の強い土壌を活かした農業が営まれてきました。
    一方、アイスランドは火山島ですが、寒冷な気候のため微生物が活発に動けません。そこで、厳しい冬を越すために「ハカール(サメの肉を土に埋めて長期間発酵・熟成させるもの)」といった、独特で力強い保存の知恵が生まれました。

このように、世界各地でその土地ならではの文化が生まれていますが、日本が他の島国と違うのは、以下の3つが絶妙な調和で組み合わさっている点にあります。

  1. 四季があること:
    夏に活動し、冬に熟成するという、菌の「オンとオフ」が切り替わる環境。
  2. 急峻な地形であること:
    水がとどまらず海へ抜けるスピードが速く、塩分を蓄積させない仕組み。
  3. 適度なミネラル供給があること:
    岩塩(塩分)はないけれど、火山の恵みによって、菌の成長に必要な他のミネラルは適度に含まれていること。

世界を見渡せば火山のある島国は他にもありますが、四季の移ろい急な地形、そして豊かな雨……これらが絶妙な調和で組み合わさっている日本の「塩のない、まっさらな土壌」は、微生物たちにとってのびのびと活動できる健やかな場所でした!

まって!菌が元気すぎる環境は……

塩で整える、人と菌のしなやかな関係づくり

しかし、菌が活発すぎる環境は、人間にとっては「食べ物がすぐに形を変えてしまう(傷みやすい)」という悩みも生み出しました。

そこで先人たちが生み出したのが、貴重な「塩」を使って菌の働きを整えるという知恵でした。このとき使われた塩は、遠い国から運ばれたものではなかったそうです。岩塩がない日本で、先人たちが海から海水を汲み、薪を燃やしてじっくりと釜で焚き上げた『海塩』が使われたそうです。

手間暇かけて作られたこの塩には、海のミネラルがたっぷり。それが日本の土壌菌たちと出会うことで、さらに奥深い味わいを生み出すことになったのです。

世界との違い
乾燥した国では、海辺に塩水を溜めておくだけで太陽が乾かしてくれます(天日塩)。しかし、雨が多く湿度の高い日本では、放っておいてもなかなか乾きません。そこで、海水を砂浜で濃縮し、それを大きな釜でじっくりと、薪(まき)を使って「焚き上げる」という、非常に手間暇のかかる方法が発達しました。

が、しかし、海水を煮詰めるために必要な『薪(まき)』は、山から切り出し、長い時間をかけて乾燥させた貴重な存在でした。加えて、こうして作られた塩は、古くからお米と並んで国(朝廷や幕府)に納められる特別な献上品でもありました!

1. 菌を「抑える」のではなく「整える」

もし日本の土壌がもともと塩分を多く含んでいたら……微生物の力は最初から抑え込まれていたかもしれません。
土や空気に菌が満ちている日本だからこそ、日本人は「塩」を単なる味付けではなく、菌の活動を調節するためにも使いました。
貴重な塩をほんの少し加えることで、活発すぎる菌の動きを穏やかにし、おいしい「発酵」へと導いていく〜(「ほんの少しの塩梅」ね!)

2. 麹菌とお米の出会い

この「塩のない土壌」が育んだ最高のパートナーが、お米と麹菌(こうじきん)です。
雨で洗われた清らかな水と土で育つお米は、麹菌にとって格好の住処となりました。この麹菌に、海から届く「塩」を合わせることで、お味噌や醤油といった日本独自の文化がゆっくりと醸成されていったのです!

3. 足りないものを補い合う知恵

「土に塩がない」という一見すると欠点のような特徴。そこに、海からの恵みである「塩」を人の手でそっと足してあげる。日本の発酵文化は、土壌という自然が持っていた個性を、人間の知恵が補うことで生まれた文化だったのです!

結び

いかがでしたか?
日本ならではの発酵文化を堪能しよう!

日本各地の珍しい発酵食品一覧

地域食品名特徴・ユニークな点
北海道石狩漬鮭といくらを、麹で和えて発酵させた豪華な「珍味」。
秋田県いぶりがっこ囲炉裏で燻製にした大根を、米ぬかで漬け込んだスモーキーな漬物。
石川県ふぐの卵巣のぬか漬け猛毒の卵巣を2年以上塩・ぬか漬けにし、解毒させた世界唯一の食品。
東京都くさや数百年守られた「くさや液」に魚を浸して干したもの。強烈な匂いが特徴。
京都府すぐき室(むろ)で加温し、独自の乳酸菌「ラブレ菌」で発酵させる酸っぱいカブ。
和歌山県なれずし寿司のルーツ。塩漬けの魚と米を数ヶ月発酵させた、チーズのような風味。
鳥取県とうふちくわ豆腐と魚のすり身を混ぜた蒸しちくわ(発酵由来の旨味が凝縮)。
沖縄県とうふよう島豆腐を泡盛や紅麹で発酵。王朝時代から伝わる「東洋のチーズ」。